アメリカ不動産はじめてガイド

第2章

購入時に相談する
事業者選びのポイント

ローンエージェントの役割と重要性

読了目安:分
ローン
  • アメリカでのローン利用は、ローンエージェントを頼ることが一般的
  • 探す前の前提知識として、日本法人名義で購入する場合には原則ローン利用はできない
  • ローンで借りられる割合は、日本居住者の場合最大で物件価格の50%程度
  • 探す方法で一番は投資家による紹介、次善策で不動産エージェントに紹介を依頼する

アメリカ不動産を購入する際、日本居住者でもローンを利用出来るのか、出来るとしたらどこに相談すればいいのかは、購入を考えるうえで多くの人が突き当たる壁です。

結論から言えば、日本居住者でもローンは利用できます。

ただその相談先は、直接銀行にではなく、ローンエージェントという個人となるのも一般的です。

日本で不動産ローンというと、メガバンクや地方銀行などの金融機関に相談し、それぞれの銀行が提供するローンに申し込むという流れのイメージが強いです。しかし、アメリカでは少し事情が異なります。

本記事では、日本居住者がアメリカ不動産を購入する場合を前提として、その相談先となるローンエージェントの役割と、ローンについて最低限知っておきたいポイントを解説します。

ローンエージェントの業務内容

アメリカでは、住宅ローンを提供しているのは大手銀行だけではありません。銀行、住宅ローン専門の金融会社(モーゲージ会社)、投資用不動産向けの融資会社(レンダー)など、さまざまな事業者が存在し、それぞれ異なる条件の商品を提供しています。

こうした中から借り手にとって最適な商品を探してくれるのが、ローンエージェントです。

日本で例えるなら、複数の保険会社の商品を比較して提案してくれる「保険の窓口」の、住宅ローン版をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

「アメリカにはローン商品が5,000種類ほどあり、そのうち日本人が利用できるものだけでも数百種類ある」と言われたりします。厳密に市場全体の商品数を数えた統計ではありませんが、それほど選択肢が多く、条件も複雑だということを表す目安の一つです。

さらに注意したいのが、「金利が最も低いローン」=「最もお得なローン」とは限らないことです。

一見すると金利が低くても、ローン組成時の手数料やポイントなどが高額に設定されている場合があるため、それらを加味して総合的にどのローンが最もお得かを判断する必要があります。

ローンの選択肢が多く、それらの比較もまた容易ではないことから、自分一人で最適な金融機関にたどり着くことはまず不可能と言っても過言ではありません。実際CFPB(米国消費者金融保護局)も、複数の金融機関を比較することを勧めていますが、アメリカ不動産を初めて購入する日本人にとってはその複数の選択肢を見つけること自体が難しいはずです。

だからこそ、アメリカ不動産ではローンエージェントの存在が重要になります。

日本法人は原則ローン利用ができない

ローンエージェントに聞けばローンに関する不明点は教えてもらえますが、適切な質問ができるよう自分自身でもローンについて最低限の知識を持っておくことは大切です。

特に重要な点を一つ挙げると、日本法人名義で購入をする場合、原則ローンは利用できないということが挙げられます。

経営者の方がアメリカ不動産を購入する場合、節税も視野に入れて「日本法人で購入したい」と考える方は多いです。しかし、日本法人で物件の購入はできますし、それによる節税効果も得られますが、この場合は基本的に現金での支払いが求められます。

実際にローンエージェントへ確認してみると、「日本法人そのものを借り手とする形では、一般的な投資用ローンの利用は非常に難しい」「アメリカに会社を設立しても、親会社として日本法人が株主に入っていると利用できない」と説明されます。

これは法律によって決められたことではないため、実際のところ必ずしもすべての金融機関でローン商品を提供していないかは断言できません。「一部、中国系の銀行がそういったローンを提供しているという噂を聞いた」と言われたりもします。

ローン商品は時期によっても条件が大きく変わるため、その意味では「絶対に無理」と決めつけず、その時点で利用可能なローンがないかローンエージェントに確認することも大切です。

ただし、基本的な資金計画としては「日本法人名義で購入する場合、現金購入も可能な状態になって初めて各専門家を探し始める」くらいの気持ちでいた方が、骨折り損になることは少ないだろうと言えます。

なお、「個人名義」で購入する場合と、「個人が株主となるアメリカ法人(LLC)名義」で購入する場合は、ローンが利用できます。

この理由としては、分かりやすく言えば「法人は倒産したら消えてしまうが、自然人はそう簡単に消えてなくならない」というものが挙げられます。

そのため多くの外国人向け投資ローンは、物件の最終的な所有者が自然人であることを前提に設計されており、日本法人がいくら資金を持っていてもその与信とはあまり関係がないのです。

ローン金利に関連する基本的な知識

上記以外で、日本居住者が投資用不動産のローンを検討するときに覚えておきたいのが、LTV(Loan to Value)、Interest Only、Prepayment Penaltyという言葉です。

LTVは、物件価格に対してどの程度まで融資を受けるのかを表します。たとえば50万ドルの物件に対して25万ドルを借りるのであれば、LTVは50%です。

一般的に、LTVを高くするほど(頭金を少なくするほど)、金利は高くなっていきます。

ただし、何%まで借りられるかは物件の収益性によって金融機関が判断するもので、金利が高くても良いなら70%、80%借りられるというものではありません。

日本居住者でも、物件価格に対して家賃が高く取れそうであれば60%程度までいける可能性もありますが、エリアをダラスに限定した場合は固定資産税が高いため、最大で50%くらいになる可能性が高いと言えます。

次にInterest Onlyです。Interestとは「利息」のことであり、要は毎月のローン返済で元本を返済せず金利のみ返済する形式も選べるということです。月々の支払いを抑えられるため、キャッシュフローを重視する投資家にはメリットがある選択肢です。

元本はいつ返済するのかと疑問に思われる方も多いと思いますが、アメリカは物件価格自体が上がっていくことに加えてリファイナンスが当たり前の選択肢となっているため、5年後10年後にいずれリファイナンスしてローンを完済するというのがよくある出口です。

最後のPrepayment Penaltyとは、「リファイナンスできない期間」のことです。正確には、リファイナンスによる繰り上げ返済を行うとペナルティーが発生する期間ですが、この期間はどれだけ市場金利が下がったり、物件価格が上昇したりしても、リファイナンスすると損失が発生してしまいます。

一般的にPrepayment Penaltyが長くなれば金利は低くなります。例えばPrepayment Penaltyが3年であれば金利は6.5%、5年であれば金利は6%といったイメージです。

以上のような知識は、ローンエージェントと会話をする際、金利や月々の支払額を下げたいと思った時に出る話題として押さえておくと非常にスムーズなコミュニケーションが取れます。

ローンエージェントを探す方法

最後に、日本人がローンエージェントを探すにはどうすればよいのかという話をお伝えします。

独力で最も簡単なのは、不動産エージェントに紹介を依頼する方法です。

不動産エージェントであれば、取引の過程でローンエージェントと接点を持っていることが多く、「日本居住者が使えるローンを扱える人を紹介してほしい」と頼めば候補者を紹介してもらえることがあります。

ただし、この方法で注意が必要なのは、必ずしもすべての不動産エージェントがそのようなローンエージェントを知っているわけではないということです。

アメリカ不動産における不動産エージェントの主なお客さんは、アメリカ人です。そのような人が接点を持つローンエージェントの主なお客さんもまた、アメリカ人です。

外国人向けのローンは特殊なローンであり、紹介されるローンエージェントがそういったローンに精通している可能性は決して高くないのです。

そこで、よりお勧めなのは、実際にアメリカ不動産を購入している投資家から、「自分が依頼して満足しているローンエージェント」を紹介してもらう方法です。

これは「そういう知り合いがいれば」と使える人が限られる方法ですが、もしそういう人がいた場合は、ある程度高い実力を持ったローンエージェントと出会える可能性が非常に高くなります。

ローンエージェントの実力によっては、最終的な調達条件(金利)が1%程度違うことも考えられます。

仮に50万ドルの不動産をLTV 50%で購入する場合、30年の元利均等返済で金利が1%違えば、単純計算で総支払額には約6.2万ドルもの差が生じます。

実際には途中で売却したり、リファイナンスしたりするため、この数字がそのまま実際の差額になることは多くありません。それでも、金額が大きく期間も長い不動産投資において、ローンエージェントの実力というのは非常に重要と言えます。

まとめ

アメリカにはさまざまな金融機関とローン商品があり、その差も一目で分かるものにはなっていないため、ローンエージェントを頼ることが一般的です。

ローンエージェントを探す前に理解しておきたい基礎知識としては、以下のようなものが挙げられます。

・日本法人名義で購入する場合、原則ローン利用はできない
・ローン利用は、最大で50%程度
・金利のみの返済にして、いずれリファイナンスで返済する方法もある
・リファイナンスできない期間を定めて、金利を安くする方法もある

良いローンエージェントと出会う一番の方法は投資家による紹介であり、次善策としては不動産エージェントに紹介を依頼する方法があります。

良い物件を見つけることと同じくらい、良い条件で資金を調達することも投資成果を左右します。信頼できるローンエージェントをチームに加えることは、アメリカ不動産投資を進めるうえで非常に重要な要素の一つです。

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