アメリカ不動産はじめてガイド

第2章

購入時に相談する
事業者選びのポイント

米国公認会計士の平均的な費用

読了目安:8分
税金
  • 日本居住者がアメリカ不動産を所有する場合、日米両方で税務申告をする必要がある
  • アメリカ側で税務申告にかかる平均費用は、年間1,500ドル程度
  • 個人で節税を希望する場合は、例外的に追加費用がかかるオプションも存在する
  • 顧問税理士をアメリカ側と直接Zoomなどでつなげば、スムーズに話を進めやすい

アメリカ不動産を購入する場合、物件費用や管理費だけでなく、毎年の税務申告にも費用がかかってきます。そこで気になるのが、「アメリカの税理士(米国公認会計士)には年間いくらくらい払う必要があるのか」という点です。

実際には、誰の名義でどの州に不動産を所有するかによっても、必要となる申告や税額は変わります。

しかし、日本に住む人が初めてアメリカ不動産を購入するケースを想定した場合、たいていは同じくらいの金額となり、その誤差も500ドルはないはずです。

この記事では、米国公認会計士(CPA)の役割と、その平均的な費用について解説します。

アメリカで得た家賃収入の税務申告先

日本に住みながらアメリカ不動産を所有する場合、まず全体像として理解しておきたいのが、家賃収入に関して日本とアメリカの両方で税務申告をする必要があるということです。

日本の居住者は、原則として日本国内だけでなく国外で得た所得についても日本の課税対象になります。

一方、アメリカにある不動産から得た家賃収入については、不動産が所在するアメリカ側にも課税権があります。

そのため、まずはアメリカで税務申告を行い納税した上で、日本でも国外所得を含めて申告し納税するという流れになります。

この際、国際的な取り決めとして二重に税金が課されないよう、アメリカで納税した金額分は日本で納税しなくても問題ありません。外国税額控除という仕組みになります。

具体的な数字で言うと、例えば日本法人がダラスの物件を購入した場合、テキサス州の数字としてその家賃収入から生まれる収益(経費を差し引いたもの)に対して21%の法人税がかかります。

所有する名義人の申告タイミングにあわせてこれを支払った上で、日本ではその差額を支払うというイメージです。

CPAの平均費用と探し方

上記の申告に関しては、日本で必ずしも税理士に依頼せず自分でも行えるように、アメリカでもまた一応は自分で行うことも可能です。

ただ、それは法律的に認められているというだけで、処理を間違った場合のペナルティーのことも考えると、実際にはまず間違いなく米国公認会計士(CPA)に依頼することをお勧めします。

その費用としては、おおよそ「年間1,500ドル程度」です。

これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれですが、日本と比べて平均年収が2~2.5倍となっているアメリカでの費用と考えれば、比較的リーズナブルに感じる方の方が多いのではないでしょうか。

この主な理由としては、通常の税務申告時に行われる仕訳作業を、不動産投資においてはすべて管理会社が担当してくれることが挙げられます。

通常、アメリカの管理会社からは、年間の家賃収入や管理費、修繕費などをまとめた収支資料がオーナーへと提供されます。オーナーはそれをそのままCPAへ渡せば、仕訳や必要な計算が一通り終わっており、CPA側の稼働時間はかなり少なく済むというわけです。

もちろん、事業として管理会社が把握していない経費があれば計上することはできます。例えばアメリカ不動産を視察するために支払った日本からアメリカへの渡航費や、滞在のためのホテル代はすべてアメリカ側でも経費になります。とは言えそれも大抵は大した量ではないため、CPAの費用が大きく上振れすることは少ないと言えます。

なお、不動産エージェントやローンエージェント、管理会社などと比べて、CPAについては業務がある程度定型化されているため、CPAによって極端に結果が変わるものではありません。そのため、誰でもいいとまでは言いませんが、仮に費用だけで判断してもそれほど大きな問題は起こりにくいと言えます。

その上でお勧めする条件を挙げるのであれば、「米国不動産と外国人オーナーの申告経験があること」くらいです。

実際の流れとしては、アメリカで仕事をしている日本人CPAを「CPA 日本人 ○○州」などとネットで検索し、上記の条件と料金について問い合わせを行うといったイメージです。

ちなみに、CPAを探す際、必ずしも物件がある州のCPAに限定する必要はありません。米国CPAのライセンス自体は州ごとに付与されますが、州をまたいで業務を行える「CPA Mobility」という仕組みが広く整備されています。

そのため、例えばカリフォルニア州を拠点とするCPAに、テキサス州にある不動産の税務申告を依頼することも可能です。CPAを探す際は所在地を必要以上に限定せず、米国不動産や日本居住者など外国人オーナーの税務に詳しいかを重視する方がお勧めです。

例外的に大きな費用がかかる場合

年間1,500ドル程度という金額は、通常の税務申告を依頼する場合の目安です。

これとは別に例外的なものとして、「減価償却についてより専門的な処理を希望する場合」には、追加でそれなりの費用が発生するケースもあります。この代表例が、「コスト・セグリゲーション」です。

コスト・セグリゲーションとは、不動産の購入価格を単純に「土地」と「建物」に分けるのではなく、建物の中に含まれる設備や器具、外構などを細かく分析し、それぞれの資産に取得価額を配分する方法です。

例えば一戸建ての中にも、建物本体だけでなく、空調設備や電気設備、給排水設備、家電、屋外設備など、さまざまなものが含まれています。これらをすべて一つの「建物」として扱うのではなく、それぞれの性質に応じた資産へ分類していくのがコスト・セグリゲーションです。

このような処理が希望される一番の理由としては、「個人で購入する際の節税」が挙げられます。

個人名義での購入は、法規制が入ったため現在では法人ほどの節税効果を得られず、築古の木造住宅であっても22年で減価償却計算を行う必要があります。

しかしコスト・セグリゲーションを行えば、建物本体以外には簡便法を適用することができ、理論上は短期間で大きな減価償却額を計上することが可能になるのです。

なお、このような処理を行うためにはCPAに依頼するのではなく、まず物件調査を専門とする会社にコスト・セグリゲーションレポートの作成を依頼する必要があります。この費用は、物件にもよりますが、一般的な木造戸建て住宅であれば3,000ドル程度はかかります。

加えて、そうして作成されたコスト・セグリゲーションレポートに記載される資産区分や耐用年数は、日米で減価償却のルールが異なるため、そのまま日本の税務申告に使用できるわけではないという点にも注意は必要です。

米国側のレポートは資産の内容や価額を裏付ける資料として利用し、最終的な税務処理は日本の税法に基づいてあらためて計算する必要があります。

結論として、こういった例外的な対応は一般的なアメリカ不動産投資においてあまりお勧めできません。あくまでも知識程度に留めておけば、実務上は十分と言って差し支えありません。

日本での申告をスムーズに進める方法

節税も視野に入れて日本法人でアメリカ不動産を購入しようとした時、顧問税理士から慎重な対応を促されることがあります。

この理由には様々なものが考えられますが、いずれにしろ税理士から懸念を示された場合「海外不動産は非常に複雑な税務処理が必要なのだろうか」と心配になる人も少なくありません。

しかし実際には、日本の顧問税理士が米国税制を理解し処理する必要は全くありません。

アメリカ側ではCPAがアメリカのルールで申告し、日本側では税理士が日本のルールで申告する。その際に、アメリカで支払った税金額とその支払い証明を添付し、その金額分日本での支払いを減らす。端的に言えばそれだけです。

例えば減価償却について、木造戸建て住宅はアメリカの税法だと27.5年、日本の税法だと22年です。しかし、日本での申告は22年で行って問題ありません。その結果、日米の税務署で同じ物件の簿価認識に差異が生じても全く問題ないのです。

その上でなお、もしも日本の顧問税理士の方が税務面で懸念を抱いている場合に非常に有効なのは、アメリカのCPAとその方を直接Zoomなどでつなぐ方法です。

CPAから「アメリカではこのように処理します」「この時期にこういう資料をお渡しします」「日本側ではこの数字を確認してください」と説明してもらえれば、顧問税理士も実際の処理をイメージしやすくなります。

この点でも、日本人CPAを選ぶメリットは大きいと言えるのです。

まとめ

日本居住者がアメリカ不動産を所有する場合、アメリカと日本でそれぞれ税務申告をする必要があります。

アメリカ側で税務申告にかかる費用としては、年間で1,500ドル程度です。

CPAによって大きくサービス品質が変わることはないため、アメリカ在住で、アメリカ不動産と外国人オーナーの税務申告を対応した経験がある日本人CPAをネットで探せば、大きな問題はまず発生しないと言えます。

日本人であれば、顧問税理士が不安を感じている場合でも、Zoomなどで直接やり取りをしてもらうことでスムーズに日米での税務申告を進めることも可能です。

※税務上の取り扱いは、個人・法人の別、所有する州、所得状況などによっても異なります。実際の申告については、日米それぞれの税務専門家に確認をしてください。

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