アメリカ不動産はじめてガイド

第2章

購入時に相談する
事業者選びのポイント

アメリカに銀行口座を開設する方法

読了目安:分
基礎知識
  • アメリカの銀行口座開設は、複数の銀行へ入念に問い合わせを行い渡米する必要がある。
  • 現地の専門家とつながりがあれば、紹介によってオンラインで開設できる場合もある。
  • 口座開設後、振込操作の後などで英語による確認電話が時々かかってくる。
  • 電話も現地の専門家に依頼して回避する方法はあるが、より慎重な態度が求められる。

アメリカ不動産を購入する場合、用意しておきたいのがアメリカ国内の銀行口座です。

現地のローンを利用する場合には、毎月の返済を引き落としで行うことが求められるため、アメリカの銀行口座はそもそも必須となります。

ローンを利用せず現金で購入する場合でも、日本の口座しかなければ家賃収入を毎月国際送金してもらう必要があり、その手数料は累計でかなりのコストとなってしまいます。

では、日本に住んでいる日本人が、アメリカの銀行口座を作るにはどうすればよいのでしょうか。その具体的な方法と注意点をご紹介します。

口座開設に向けた基本的な流れ

まず大前提として、日本居住者がアメリカの銀行口座を作ることは、決して簡単なことではありません。

この理由は、逆の立場で考えると分かりやすいのではないでしょうか。

例えば、アメリカに住んでいる人が旅行で日本へやってきて、そのまま銀行の窓口へ行き、「日本の銀行口座を作りたい」と言ったらどうなるでしょうか。

本人確認や住所確認などを求められ、日本に生活拠点のない人がその場で口座を作れるわけもないだろうことは容易に想像できるはずです。

アメリカでも、基本的な考え方は同じです。

しかし、銀行によっては審査がそれほど厳格でないところもあります。そのため銀行口座の開設を目指す場合は、まず非居住者による口座開設を受け付けている銀行を探すことから始まります。これは時期によって変わるため、最新の情報をWEBサイトなどから自分で調べる必要があります。

検索は全米展開している大手銀行だけに絞る必要はありません。購入する物件がある州と、銀行のある州が異なっても何も問題ありませんので、特定の州を中心に営業している地方銀行も含めて、候補を探し問い合わせていきます。

このとき重要なのが、単にWEBページだけを見て「外国人でも口座を作れる」という情報だけでは判断しないことです。

一般的に、オンライン申請は米国内居住者を前提としており、日本居住者は少なくとも一度現地の窓口に行く必要があります。万一そこで「外国籍でもいいがアメリカ国内の住所は必要」などの追加条件が判明してしまった場合、渡米した苦労が水の泡になる可能性があります。

そういった事態を避けるため、
「日本居住者でも申し込めるか」
「観光などの短期滞在中でも手続きできるか」
「パスポート以外に何が必要か」
「収入証明などの提出書類は日本語表記のままで問題ないか」
「米国内住所は必要か」
「SSN(社会保障番号)やITIN(個人納税者番号)は必要か」
など、諸々確認しましょう。

実際のところ、必要書類や審査方針は銀行によって異なるため、「これを確認すればOK」という既存のチェックリストはなく、自分が責任を持って気になる点はすべて掘り下げていくことが求められます。

そうして、可能であれば面談日時を予約してから、渡米し窓口へ行くようにします。

渡米せず口座開設する例外的な方法

簡単そうに書かれていますが、以上の内容が多くの日本人にとって非常にハードルが高いことは明らかです。

実は、全員が使える方法ではないため「こういう方法もある」程度の話にはなってしまいますが、もっとずっと簡単に、日本にいながらオンライン申請だけで口座開設をする方法もあります。

それは、「銀行にとっての優良顧客からの紹介」です。

例えば「ローン金利」で考えた時、不動産を1件だけ所有している顧客と、数十件所有して継続的に融資や預金取引を行っている顧客とでは、銀行から見た重要性が変わります。その結果、優良顧客にはそれに応じた金利や条件が提示されるようになります。

そしてこの優遇は、紹介にも影響することがあります。

例えばある米国公認会計士(CPA)が多数の顧客を特定の銀行へ継続的に紹介しているとします。銀行側からすれば、このCPAは優良顧客であり、一定の信頼関係が成立しています。

このCPAから新しく顧客を紹介された際、「大切なクライアントで急ぎの対応が必要なので、本人確認をオンラインで行ってほしい」と依頼された場合に、銀行側は特別にOKを出す場合があるという話です。

もしもあなたの周囲にそういった銀行にとっての優良顧客がいた場合には、わざわざアメリカへ行き英語であれこれ対応をしなくても、日本にいながら簡単にアメリカで銀行口座を開設できる可能性もあります。

口座開設後に意外と困る対応

無事に銀行口座を開設することができれば、それですべて終わりというわけではありません。

日本居住者が意外と苦労するのが、口座開設後の銀行とのコミュニケーションです。

特に注意したいのが、電話です。

例えば、普段と比べて大きな金額を送金した場合や、通常とは異なる取引が発生した場合に、銀行側の判断で取引内容の確認や本人確認のための電話が登録された番号へかかってくることが時々あります。

アメリカではアカウントを乗っ取っての詐欺が少なからずあるため、これは基本的には善意によるものです。ただ、不意にそういった電話を受けた日本人の中には、突然英語で話しかけられるため、パニックになってしまう人も少なくありません。

アメリカに銀行口座を持っている以上、ある日突然英語の電話がかかってくる可能性は考えておかなければいけません。慣れてしまえば落ち着いて対応できますが、英語に慣れていない人にとって、これは最初のうちかなり大きなストレスになります。

対応方法の一つは、最初から銀行担当者へ事情を伝えておくことです。

「私は日本語しか話せない。英語での電話対応は難しい。本人確認が必要な場合にはどのような方法が利用できるか」と、口座開設時に確認しておきます。現在は文字でも音声でも様々な形で翻訳機能があるため、上記の内容を英訳して伝えること自体はそれほど難しくないはずです。

あとの対応は銀行次第です。ただ、銀行は基本的にこちらをお客さんとして見ており、仕事として最善を尽くしてくれますので、その点は過度に心配せずとも大丈夫です。

アメリカにも英語を母語としない人は数多く暮らしていますので、英語が話せない人への対応にも慣れていると考えてしまって問題ありません。少し時間はかかってしまうかもしれませんが、向こうもまた翻訳アプリを使うなど工夫して対応してくれるはずです。

口座開設後も存在する例外的な方法

「自分で英語の電話対応をするのは絶対に無理」という人もいます。そういう場合、これもまた「周囲にそういう人がいた場合」の話にはなってしまいますが、自分では一切電話対応しない方法もあります。

それは、法人名義で不動産を購入することを前提に、その法人名義で銀行口座を開設し、その際に税務申告を担当するCPAなどの専門家に会社の一定の権限を持ってもらい、銀行対応をすべて任せるという方法です。

この場合、銀行側へ登録される責任者の電話番号はCPAなど専門家の番号になるため、各対応において多少の追加費用はかかるものの、自分自身で度々英語の電話対応をする必要はなくなります。

この方法を取れるのであれば、銀行の口座開設もまた全部任せられる可能性があります。口座開設におけるWEB面談も自分で対応する必要がなくなり、完全に手放しで口座開設することも可能です。

人によっては、この方法を希望するためにアメリカへ新しくLLC(法人)を設立し、そちらの名義でアメリカ不動産を購入される方もいます。LLCを設立するメリットはまた次の記事でお伝えしますが、これもまた、人によっては決して小さくないメリットと言えます。

ただし、利便性だけを見れば、現地専門家へ「この口座へこの金額を送金してください」と連絡するだけで済む体制は魅力的かもしれませんが、一方で自社の銀行口座に第三者の権限を設定する以上、相手を十分に信用できるかという問題は避けて通れません。

そのため、こちらは口座開設を頼む以上に慎重な態度で、相手が信頼できるか見極めることを強くお勧めします。

まとめ

日本居住者がアメリカの銀行口座を作ることは、決して不可能ではありません。正攻法としては、複数の銀行に問い合わせを行い、必要な書類や条件を確認することです。

一方、CPAなど現地の専門家とつながりがあれば、その人が取引している銀行を紹介してもらい、一般的な申込方法とは異なる形で手続きを進められる場合もあります。

そして口座開設で忘れてはいけないのが、「口座を開設した後」です。日本に住みながらアメリカの銀行口座を保有する以上、英語での本人確認や送金確認などが必要になる可能性があります。

これもまた現地の専門家とつながりがあれば回避する方法もありますが、こちらは口座開設以上に強い信頼関係が必要なため注意が必要です。

銀行口座は「開設できるかどうか」だけで選ぶのではなく、「開設後に自分が無理なく管理し続けられるか」まで考えて準備しておくことが大切です。

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